『書斎の設計』

吉田実

グラフ社

1983年1月発売


ウェブサイトを見たら、現在はネット販売専門になっているみたいです。昔は銀行だったと思う。倉敷駅から近くにある古本屋「長山書店」で購入していた一冊。書斎の設計、それは甘美な響き。と同時に知ってしまったミニマリズムという考え方。本は全日本建築士会理事も務められていると著者紹介でも書かれている建築士の吉田実さん。40年前の本、はたして相反する自分の心はどちらに揺り動かされるのか。いざ勝負。

 

まっすぐ生真面目なハウツー本なのかなと思ったら、筆無精であったり机に向かって本を読まなかったり。こっちは書斎を作るつもりで読み始めたのに、ちょくちょく立ち止まったりするのがツッコミどころ満載で面白い。公共の施設を利用して書斎を持たない、まるでミニマリストのような海外の生活エピソードをなぜか自ら披露したり、設計図ほっぽらかして精神論で強引に乗り切ろうとしたり。皮肉にも著者の迷走ぶりが本を読ませるモチベーションになった。さあ、この絶体絶命の危機をどうやって切り抜けるのか。書斎の設計をするしない話はひとまず置いといて。著者の書斎に対する並々ならぬ愛情と執念は時を越えても確かにしっかり伝わってきました。