雑誌
マガジンハウス
2013年7月発売
「人間が作ったものを使うなら、よっぽど注意深くならないといけない」。染織修復家、梶谷宣子さんの言葉。8年前に発売されたのに、まるで予言書のよう。実家の本棚から拝借。原則持ち出し不可。大量にバックナンバーがあるから、まだバレていない。チェックが入る前にそっと元に戻すようにします。
つくづく不思議な雑誌だなと思う。表紙に書かれているのは「哲学ある住まい」。冒頭で特集されている「ポートランドのあたりまえ」。これがそれに当たるんだろうけど、特に何の説明もない。どこの誰だかもよくわからない。でも、違和感なくスッと入ってくる不思議。ポートランドに心を惹かれていると突然、郷土料理の旅へ連れて行かれ、神奈川県の真鶴で服づくりをするご夫妻の所に飛ぶ、香川県の善通寺にある総合病院に飛ぶ。何人かの夏の寝具の紹介を経て、江國香織姉妹の往復書簡。ここから終盤にかけてが圧巻。画家の有元利夫・容子ご夫妻の話、川上弘美さんの短編、美術家の内藤礼さんの愛猫とんちゃん、ほしよりこさんの漫画、梯橋久美子さんの心配性をテーマにしたエッセイで大団円。特に厚みもないのに、信じられないほどの読み応えがあった。クウネル、凄いです。
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