ジョッシュ・ウェイツキン
みすず書房
2015年8月発売
あの人も同じ場所に泊まったんだと思うだけで、ドキドキして眠れない。神奈川「箱根本箱」で見つけてお持ち帰り。どんな内容なのか説明しなくても、著者が主人公の映画「ボビー・フィッシャーを探して」を観たほうが手っ取り早い。下手な説明なんかをするより、よっぽど本の入りが簡単になると思うから。感動もするし。誰の選書か思わず言いたくなってきたけど、やっぱりやめておこう。それは言うだけ野暮ってもんだ。
本を読み始めると、大半を占めているのは著者が唐突に始めた太極拳。空白を想像させたりするような神秘的な文章なんかとは対照的に、スターウォーズにフォース、ヨーダにマトリックスといった、たとえ話を全編に散りばめているから、頭の中に映像をイメージしながらずっと読むことができた。チェスと太極拳。一見、相反する二つの競技に向けた取り組みが、まるで映画の伏線を回収していくように、次から次へと片っ端からリンクしていく様は映画同様にスリリング。どちらも自分はやることはないかもしれないけれど、本から受けたインスピレーションは計り知れない。実際クラシックだから。ジョッシュ・ウェイツキンってやつは。
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