猪田彰郎
アノニマ・スタジオ
2018年12月発売
あれ?なくなってる!もしかしたら、そう思った人がいるかもしれない。アリオ倉敷の中にある無印良品。セルフ式のコーヒーマシンが置いてあるカフェスペースに面陳で置いてあった。「淹れる場所をさっときれいに気持ちも整います」。あの独特な音楽が流れる店内で、行くたびに何度も何度も、だれでもできるおいしいコーヒーの淹れ方を立ち読み。京都にある「イノダコーヒ」三条店初代店長、猪田彰郎さんの著書。何を隠そう、私が買いました。
「大事なんは、技術よりも、気持ち。そやから、どなたでもおいしく淹れられます」。戦後間もなく、15歳で働きはじめたアキオさん。ビンタや怒号が飛び交う光景は、今のコーヒーショップとは似ても似つかない。具体的なコーヒーがおいしい理由も書かれているけど、そこからあとに語られているのは、もうコーヒーに対する一筋の愛情。読んでいると、数字や方法や道具にばっかり執拗にこだわっていた自分の心の持ちようが変わっていく。「一生懸命やっていますから、どうぞおいしいコーヒーになってください」。アキオさんに言われたとおり、心の中で声をかけながらコーヒーを淹れています。コーヒーのことが改めて好きになった。
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