『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』

KEMIO

KADOKAWA

2019年4月発売


「グッモーニンポーツモォ〜〜〜ーーィ!!!!!!!」。うるさっ!!突然大音量で鳴り響く出囃子に慌てて音量を下げようとしても、横で微動だにしない母。テレビでユーチューブが見れるようになってからというもの、妹と一緒に毎日見ているらしい。こちとら部屋にテレビがないので、次から次へと現れるインフルエンサーにもう対応できてない。よくいるタイプなのかなと思っていたけど、微妙に違う。真っ白な歯、エセ関西弁、アメリカ、身長193、スピーカー返品にドーナツ屋さん。気が付いたら数時間見続けていました。

 

速読くらいがちょうどいいわ。標準でも再生速度が1.5倍かって思うくらい、いつも会話が早口だから、動画と同じ文体のスピード感に最初戸惑った。ケミオが何者だという説明はそこそこに、あっという間に秒で本編に突入して行くのにはマジで受けた。全編にわたって、呪いのようにポジティブな言葉が書き綴られている。辛いことや悲しいことに向き合わずに平気な顔してスタスタとランウェイを歩くのは、まるで時代の申し子。どんどん不可能を可能にぶち上げていきそうな気がする。これからケミオがどうなっていくのかが楽しみでしょうがない。