内沼晋太郎
NHK出版
2018年5月発売
新刊コーナーという場所。表紙に印刷された「本屋」という文字。自分の知っている著者が書いた本。これらの伏線もあったにせよ、奇抜な本の形に思わず反応してしまったというのがまず第一印象。高知の「金高堂書店本店」で購入。
「そもそも、これから本屋では「売れるお店」というのは成立しないと思うんですね」。京都「誠光社」の堀部篤史さんの言葉。香川に開いた「本屋ルヌカンガ」の中村勇亮さんを交えての鼎談がとても面白かった。だけど本屋で食っていくということに関しては、とにかく暗いトーンになる話ばかり。なのに、これから本屋を始めようとする人が一向に後を絶たない不思議。そういった人たちをなんとかサポートしようと、あの手この手の提案を発信し続けているのが本書。ビールを売ったり、毎日イベントをやったり。内沼さんが本だけに頼らず利益を確保し「本屋B&B」を健全に運営しているのはもう周知の事実。今までの著書と重複しているところもあるけど、その重複が説得力を確かに増している。希望論や理想論でも根性論でもなく、あくまでドライに本屋を始める、続けていくためのコツが書かれた一冊。こんな切り口の本屋の本を読んだのは始めてだ。
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