『心の病、初めが肝心』

水野雅文

朝日新聞出版

2015年6月発売


肉体もそうだけど、精神のほうが疲労のピークに達していたからなのかもしれない。今年の頭に心が壊れかけた。暴れまわったりとかはしてないけど、とにかく噴出してくる感情を抑えきれない。まだ自分はここまでじゃないとか、心のどこかで上から目線だったんだと思う。でもいつだって自分もそうなってしまうことを確かに実感してしまった。もはや対岸の火事などではまったくない。ちょっと思うところもあって図書館で見つけて。

 

「誰でもかかる病気」。誰にでも当てはまる事柄と病気に関する深い話が交互にバランスよく書かれていた。もちろん誰かにアドバイスなんかはできやしないだろうけど、ただなんとなく偏見を持たないとかではなく、もう一歩踏み込んでこの病気のことを知ることができた。厳しい現実が突きつけられてもいるけど、同時にとても救いもある一冊だと思う。何事もなかったかのように完全回復してほしい。そうなるのが理想だけど、そんな単純なものじゃない。でも決して特別なことでもない。誰にでもいつでも起こってしまう生活習慣病のような身近なもの。自分は自分とうまく折り合いをつけながら予防と対処。できるものなら誰かの助けにもなれたら。