『日本語の感覚』

外山滋比古

中央公論社

1992年6月発売


「空白を満たしなさい」を貸してくれた人。車のサイドポケットにこんな本を突っ込んでいた。後で気づいたけど倉敷「蟲文庫」の栞が挟まっていた。そこで買ったのかどうかは聞いてないけど、この人が読んでるならってことでお借りした。「われわれほど言葉のことを気にする民族もすくないのではないか」。英文学者であり言語学者でもある外山滋比古さんの著書。予期せぬ本との出合いには感謝したいけど、またどえらい本に手を出してるなあ…

 

最後まできちんと読み通した自分を褒めてあげたい。この連日続く異様な暑さに読書する気力を奪われたというのもあるけど、読み終えるまでに要した時間はなんと二週間!今年のアタマに読んだショウペンハウエルの「読書について」よりもさらに時間がかかった…日本人の英語の翻訳に難があることから始まって、日本人の目と耳の使い分け方。話し言葉、印刷や出版、著書と読者の関係、書評のこと、都会と地方…そこに外山さんが考える外国の良いところを全体に満遍なくまぶした一冊。暑さと疲労で読んでる最中に何度もなにくそと思ってしまったくらい。またもや、なかなかに辛口な一冊でした。あの人の感想を聞いてみたいんだけど。