『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか』

嶋浩一郎

祥伝社

2013年6月発売


「なんで数万円かけて、こっちでも買える本を買いに行くの?」。知り合いに言われました。モチロン無視したけど。「グルメサイトで★★★(ホシ3つ)の店は、本当に美味しいのか?」の明快な内容で、一目置いている嶋浩一郎さん。福岡、天神に期間限定でオープンした「リシンクブックス」をプロデュース。「本屋は、お客さんが本と出会う場をデザインしようとしています」。まんまとデザインされちゃったけど、まったく悪い気はしない。これはもう、ここで買って帰らないと。

 

なぜ本屋に行くのがいいのか。なぜネットじゃなくて、本屋で本を買うのがいいのか。ノスタルジーや街の本屋を守るとかいった意味だけではないのはわかっている。わかっているけど、ぼんやりとではなくて、きちんとその良さを説明できる人は少ないような気がする。自分も上手く説明できない。「まるで産地直送の野菜を買うような感覚になれる」。とても分かりやすい例えや引用で、本屋に行って本を買う魅力を明快に言語化している一冊。これでもう、理路整然と反論することができる!ネットや電子書籍を一切否定してないところも心憎い配慮。今回もうまいよなあと、また唸らされました。

 

 

『本の街あるき NO. 53』