『ヨーロッパ退屈日記』

伊丹十三

新潮社

2005年3月発売


岡山の「古書五車堂」で購入。以前感想を書いた「女たちよ!」と同じ時期に購入していたんだけど、こちらはガス欠になってしまって、途中で読むのをストップしてしまっていた。改めて読み始めると海外に英語、演劇にファッションにグルメと、終始一貫した文体で統一されたセンス溢れる一冊でした。すごい面白かった!

 

「スパゲッティの正しい食べ方」。読む前から知っていた、この有名なエピソードの出来が秀逸なのは当然として、終盤で披露された「古典音楽コンプレックス」。伊丹さんの幼少期の音楽体験、クラシック音楽に触れるエピソードがとても興味深かった。「音楽のよろこびを知るためには、一つの曲を集中的に聴くことが早道であると思う」。感覚だけじゃなく、具体的にどうやったら楽しめるかを書いた本を今まで読んだことがなかったので、最近クラシックを聴き始めた自分にとっては非常に役立っています。変にオトナになることなく、様々なことに常にアンテナを張り巡らせながら触れる、楽しむ、考える、批判する。こういう生き方を自分もしよう。

 

 

『本の街あるき NO. 11』