『本は鞄をとびだして』

群ようこ

新潮社

1995年5月発売


限られた文字数。本の内容について書くか、本にまつわるエピソードを書くか。うんざりするくらい、ひたすら思ったことを書いていた頃と違って、少しは自分のことを客観的に見られるようになりました。そうなってくると出てくるのが、この二つのどちらに重きを置いた方がいいかという問題。本の内容なんて読んでみないとわからないし、自分が逐一説明したところで面白くない。自然と後者にシフトしていくように。

 

長年、小さく温め続けていたささやかな悩みを一瞬で吹き飛ばしてくれたのがこの本。岡山、奉還町商店街の中にある古本屋のワゴンセールで購入。群ようこさんの超過激読書エッセイ海外編。とにかく圧巻だったのが、どんな本なのか全然説明しようとしてないところ!(興奮して多少オーバーに言ってます)。エッセイのベースは群さんの思い出ありき。でもそこにグイグイ引きずり込まれていってしまう。これによって、覚えてないつもりが、どんな本なのかしっかり思い出せる。群フィルターを外して実際に読んだら、とんでもない本が多そうだけど…衝撃の読書体験。こう書けばよかったんだ!今後の自分の大きな指針になってくれるであろう一冊。

 

 

『本の街あるき NO. 12』