向井秀徳
イースト・プレス
2010年11月発売
音楽は本当にかっこいい、文章は本当に面白い。非の打ち所のない才能。元ナンバーガール、ザゼン・ボーイズのフロントマン向井秀徳。本はタワーレコードにウェブ連載されていたのをまとめたもの。岡山「古本ながいひる」で購入しました。
自分のつたない文章で本の面白さを伝えるのは本当に難しいんだけど、まずこの人の文章には勢いがある。清清しいくらいのソリッドなスピード感。イカつい過激描写もあったりだけど、そこを完全に面白さに昇華できるテクニック。これは音楽活動にも共通しているんじゃないかと思った。非常に濃いんだけど気持ち悪さは微塵もない。ダイエーとかケンウッドとか、話を添える小道具がいちいち細かいのもポイント。向井さんの青春と脳内妄想をごちゃ混ぜにして原稿用紙にぶちまけた感じなんだけど、それをきちんと読み物として読ませる力も持ってる。町田康、大槻ケンヂに続くミュージシャンから新たに偉大な作家が誕生した瞬間。いつか長編小説書いてください。もちろん狂った!