大坊勝次
誠文堂新光社
2014年7月発売
「日本のマーケットで、そのコーヒーが売れるか売れないかは、品質ではなくストーリー性やうんちくのあるなしで決まってしまうところがある」。先日感想を書いた嶋中労さんの「コーヒーに憑かれた男たち」の中で書かれていて印象に残っている言葉。岩手ご出身の大坊勝次さんが1975年に開店させた東京、南青山にあった「大坊珈琲店」。本書は2013年末にお店が閉店することにあたり、大坊さんがお店を訪れるお客さんに向けて作った一冊。1000部限定で制作された私家本を改訂、そのおかげでこうして大坊さんのコーヒーを飲んだことのない人間も本を手にすることができました。岡山「ミルブックス」のウェブサイトで紹介されているのを見て一目ぼれ。ストーリー性やうんちくのあるなしだけではないとは思うけど、自分もこれをとても大切にしているみたいだ。
大坊さんのエッセイと、お店に縁のある35人の寄行文で本は構成。誰もが一番の大坊ファンを名乗りたい、けど名乗らない。その妙に謙虚だけど熱い文章の感じが、微笑ましくて羨ましかったです。
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