『求めない』

加島祥造 

小学館 

2007年6月発売


素晴らしい本に出会えた。本の著者は加島祥造さんという方で、1923年生まれ。早稲田大学卒業後アメリカへ留学。帰国後、翻訳家として仕事を始め、小説家ウィリアム・フォークナーやマーク・トウェインの翻訳も手がけている。現在は長野県伊那谷に独居して、今でも精力的に創作活動を続けているそうです。 

 

本は加島さんが83歳の時にとつぜん胸中に「求めない―」ではじまる語群が次々と湧き出したことから一冊にまとめた短句・短詩集。求めないというと、ついすべての欲や煩悩を捨て去れみたいに考えがちだけど、加島さんは最初にまず「五欲を去れだの煩悩を捨てろだのとあんなこと嘘っぱちだ」と言い切ってしまっている。求めることを肯定した上での求めないを実行しようと言っています。一見矛盾してるようだし難しそうなことだけど、そんなことはない。それは今までは求めるのを否定して求めてしまっていたから。ちょっとした違いだけど、こんな考え方を本で読んだのは初めて。自分をもっと大切にすることができて充実もさせられて、同じように他のひとも大切にすることができる考え方。