岡部幸雄
角川書店
2006年9月発売
「名手」の愛称で親しまれ、シンボリルドルフやタイキシャトル、ビワハヤヒデなどの数多くの名馬にも騎乗、武豊騎手と共に日本競馬を支え続けてきたJRA元・騎手、岡部幸雄さんの騎手引退後に書かれた著書。幸運なことに岡部さんのキャリアの後半のレースをリアルタイムで見ることができたんだけど、スルスルと先団に取り付けてきっちり勝っていくといった、堅実な騎乗をされていたのがとても強く印象に残っています。
本は岡部さんのキャリアの全てを網羅している一冊。特に印象に残ったのが騎手を引退してからの最後の章。「自分があの場所と訣別したのだということを受け入れるのは難しかった」。3000勝達成目前にスパッと騎手を辞めた岡部さんがこんなことを考えていたなんて意外だったし、思わず胸が締め付けられた。競馬ファンにも伝わってきてたマジメで誠実な人柄。本も最初から最後まで、誠実な文章に溢れた一冊でした。そうして読んでいった中で最後にすっと話される最後の二行の言葉には思わず目頭が熱くなるものがあった。また本も執筆してくれないかな。
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