『孤独のグルメ』

久住昌之、谷口ジロー 

扶桑社 

2000年2月発売


不思議な魅力を持った漫画だった。先日書いた「深夜食堂」の感想を書きながらアマゾン経由で知ったんだけど、文章を書いているうちに気になってきて、もう一度気付いた時には手元に本がありました。 

 

輸入雑貨の貿易商を個人で営む主人公、井之頭五郎(なんかすごい名前)。漫画はそんな井之頭の仕事の合間に飛び込みで入った飲食店の食べ歩き記録。……はい!基本漫画の大まかな内容はこれだけ。井之頭の仕事のこととか、恋愛のこととか、妙に体を鍛えていて強いこととか、ちょこちょこ話が脱線しそうになるんだけど、結局完全に脱線することもなく漫画、そのまま完結します。普通の漫画なら消化不良の内容もいいところなんだけど、常に冒頭は空腹状態、そして常に頭の中でブツブツ自問自答を繰り返しながらも結構な量のご飯を美味しそうに平らげていく井之頭の姿を何度も見ていると、それだけでだんだん漫画が面白くなっていくから不思議。海外でも翻訳版が出版され、イタリアではなぜか10万部売り上げられたそう、本当に不思議な漫画だ。こちらの文庫版の巻末には原作者、久住さんのちょっと弱気なエッセイも収録。