新津武昭、伊達宮豊
求龍堂
2001年10月発売
鮨の味はしない本。なぜこんなことを書いたかというとこの本、お鮨に関する話がほとんどといっていいほどでてこないから。でてくるのは一軒のお鮨屋に長年に渡って通い詰めたお客さんのお話し。このことが本の内容の大半を占めています。
東京は銀座の路地の奥にあるお鮨屋「きよ田」。店主、新津武昭さんが握るお鮨を食べに来るのは、白洲次郎、白洲正子、安岡章太郎、小林秀雄に三島由紀夫などなど…日本を代表する文士の人達の名前がずらっと並ぶ(天皇陛下、美智子皇后にもお鮨を握られたことがあるそう)。いくつかの本でお店に錚々たる著名人が訪れていることは知っていたので、個人的にはそのきよ田でどんなお鮨が出されるのか、そんなところが読みたかったんだけど、いざ読み始めてみるとグイグイ新津さんのお話し、きよ田の世界に引き込まれていた。特に最初に紹介される小説家の辻邦夫さんとのお話しはとても興味深かった。新津さん宛てに辻さんが送った絵葉書の自身の写真が、なぜかとても印象的でした。
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